≪ 会長と節子さん ≫
入院三日目・・・・・・。
昨夜は、麻酔の余韻で一晩中うつろな状態。話しかけには答えられるものの、身動きが出来ず、腰が割れる様に痛み、どうして良いか解らない有様。
傷の痛みは麻酔でコントロールされていても、ベッド上で動けない副産物の痛みに閉口・・・・・。
オマケに、お隣の患者さんの「いびき」が物凄い!!
往復いびきを繰り返したと思ったら、急に静かになり、突然「ブハッ!!」と大きな音?声?雄叫び?
正に、無呼吸症候群の症状・・・・・・。
これが見事に一晩中・・・・・。
私自身の血圧も最大80を切り、1時間毎に検温と血圧の測定。その間にこのいびき。
眠れる訳がありません。
いつも、お一人様の生活に慣れている私には寝室は静かなものと決まっていて、痛みと騒音の為に眠れない事が朝になっても憂鬱な気分のままで、麻酔の影響が無くなる頃にも、モチベーションが上がりませんでした。
看護師さんや、回診の先生に「良く眠れましたか?」と聞かれても、説明の余地が無く、これから4日、どうしたものかとうつろな頭で悩んでいました。
担当の看護師さんにその事をやっと伝えたものの、何の対策も無さそう。
そればかりか、離床しやすいレイアウトに変更します!とベッドがもっとお隣さんに近づいたので、内心ガッカリ・・・・・。
それでも、私は運の良い女!!
看護師長さんがご挨拶に起こしになり、「お困りの事はなんなりと仰って下さいね」と声をかけて下さったのです。
その時とばかり、「では、早速で恐縮ですが、・・・・」と昨夜からの経緯を話しました。
流石に、決定権のある人との話は早い!!
手術がキャンセルになった個室が空いているので、移るならお隣の方が手術室から戻る前にしましょうと、すぐに車いすを用意。私物も全てトランクに詰めなおして下さり、念願の個室へ脱出成功!
その手早さ、連携の見事さには、感謝・感謝の一言です。
いつもは満床でこんな事はめったにない事らしく、「特別ですよ」と言われましたが、本当に有難かったです。
一人、落ち着いてやっとリラックスしているところへ、兄が顔を出しました。
「どうしたの?」と不安げな様子。そして経緯を報告。
昨日の術後はまだボンヤリして、帰る際もまたねと言ったきりでしたが、今日の様子を見て「良かったね」と安心と共に回復の様子にビックリしていました。
ここの手術は最先端医療を取り入れている為、何もかもが既存の病院での経過と異なります。
ですから、各地から医療関係者の訪問、視察、見学が行われています。
その中で、今日は手術室担当の看護師さんが2名術後の患者さんの話を聞きたいとの事で、インタヴューを受けました。
看護師長さんからのお願いで、この個室に移動させて頂いたお礼のつもりで、入院からこの時間までの回復状態、医師、看護師の印象、痛みの様子などをお話ししました。
何処にいても、何だかこの様なお役は付いて回る様です。
さて、今日のメインイベント!
何だか見た事のある人・・・・と思ったら、会長と親友の節子さん登場。
今回の入院は、場所も遠いし、入院期間がウィークデーなので、お見舞いはご辞退していました。会長にもその様にお伝えしていたのですが、「無理やりにでも早く励ましにいかないとリハビリにならないから」と友人を誘い、来て下さったのです。
三人で、医学の進歩はすごいね~と話している所に。元気の良い二宮PTが登場。
お二人の前で、ベッド上のリハビリ開始。
恥ずかしいとか、何とかより、皆して、「すごいね、すごいね!」の連発。
本当に昨日手術をしたのかと思うほど、動きが良く、動かすほどに痛みも軽減。
いつも、利用者の皆様にベッドへの移乗方法をご指導するものが、今は現実的な指導をされて、どんどん回復している。
もう、歩行器で廊下を歩いてきました。
そうそう、お昼からはカテーテルもとれ、トイレにも行きました。
会長も、友人も、きた瞬間から私が元気な事にびっくりしていたものの、リハ後の様子を間近にみて、「本当にさっきよりもっと元気になっている」と胸をなで下ろして帰っていきました。
今日くらい、半日で心身ともに変化が大きかった日は思い出せません。
今は、ベッドサイドに足を下ろしてPCに向かっています。
今夜からの安眠が確保された事、患者をおもんばかる行為がそこにある事、励ましが何よりの薬と、遠くまで足を運んでくれる想いがあって、みるみる回復しています。
でも、二宮PTは、会長の顔を見るなり、「お父様ですか?」ととんでもない発言を。
これには、大爆笑。「僕がお父さんなら、せっちゃんはお母さんだよ」「そう、再婚で継母かもね」なんて、私たち三人が集まるといつもかわす会話がそこにあり、笑いは何よりの栄養だと、改めて実感。
二宮PTには、後で「おかしいと思った時は、お兄様ですか?って聞けばホントは父親でも嬉しいでしょ?女の方には特に注意するのよ」とアドバイス。
人のやりとり程面白いものはありません。