この数年、私の体調管理を担ってくれていた伊藤ちゃんが転勤になってしまいました。
伊藤ちゃんは、新人時代から先輩の仕事をしっかり学び、その当時の店長を目指し、私にいつも優しい声を掛けて気遣って下さる一方で、その瞳はとても力強く、施術の腕も行く度に上がり「この子は伸びるな~」と思っていました。
エステと言っても、ここは体育会系の乗りで、筋肉運動や、リンパマッサージもハードで、肉体労働の塊みたいな現場です。
だからこそ、いつも強張った私の身体を解すのには丁度良くて、休み休みながも継続していたのですが、その度に、良く人が替わっていました。
ここのマッサージは多い時で、各手足に一人ずつ配置され、ハーレムの様でしたが、その際に私を含め、色々なおしゃべりをするのです。
私は顧客として行っているのですが、「〇〇なんですけど、古谷様はどう思われますか?」などとまるで、人生相談の様な時間になっていました。
私の職業や、立場は伝えていませんが、どことなく若いスタッフ達では気付けない事に対し、ヒントを欲しがっている様でした。
ある時、伊藤ちゃんは、私が通い始めて、3人目の店長になり、同時にスタッフ教育に関するお悩みを私に相談する様になりました。
本当に人の成長を身近に感じられるのは幸せな事です。
他のスタッフに聞こえない様に、私の感じている事を伝えると、みるみる伊藤ちゃんの顔が明るくなります。
股関節の手術の前後、数か月ご無沙汰でしたが、「そろそろ再開しようかな?」と思ったある日、電話が鳴りました。
「今度成田に移動します」と。それも5日後に。
急遽、予約を入れて貰い、伊藤ちゃんの真心こもる最後の施術を受けました。
ゴッドハンドと呼んでいた大切な手の為にハンドクリームをプレゼントし、伊藤ちゃんからはお手紙を頂きました。
「古谷様から頑張ってねと握手して頂いた時の事を思い出し、それが辞めたいと思った時のブレーキになっていました・・・・。」
思いがけない感謝の言葉でした。
大変だから・・・と辞めていく人が多い中、同じお別れでも成田店の店長として出世していく伊藤ちゃんを改めて激励し、帰ってきました。
この若くて健気な人が、もっと、もっと素敵な仕事で大成して欲しいものだと願わずにはいられません。
そして、年かさの一人の人間として、若い人の志の応援が続けられる様、もっと自分自身も豊かにならねばと思ったひと時でした。
頑張れ!伊藤ちゃん♪