11月11日(金曜日)
ただでさえ寒い上に、朝から冷たい雨が降った日でした。
交差点近くで、腰の曲がったおじいちゃんがタクシーを捕まえたくて、傘の中から手を挙げています。
雨の日は運転手さんの視界も悪いでしょうし、傘が邪魔して、合図を送っている様には見えません。
わたくしは道路の反対側に居たのですが、何となく心配で少し様子を見ていました。
すると、タクシーでは無い車に向かっても手を挙げています。
『これは無理だわ……』と思い信号が変わってからおじいちゃんに近寄り、「タクシーですか?今日は雨で中々つかまりませんね。わたし、お手伝いしますね」とお伝えしタクシーが拾えるまでご一緒しました。
なかなか空車が来ない状況で、
「あんたはどこまで行くの?」
「いえ、わたしはこの近所に用を足しに来たんです」
などと話をしながら、やっと見つけた赤いランプの車に思いっきり車道に出て手を振ったら『回送』で、スルーされました💦
おじいちゃんは、それでも一生懸命に手を振ろうとするので、フラフラして危なげです。
ご高齢者が寒い雨の中に車を拾うのは、大抵病院に行く為です。
この方もそうでした。
バスでは少し不便な所にある病院に行くのだと仰っていました。
そして、ようやく本物の空車が来て、無事に乗り込むのを見届けることが出来て、ホッといたしました。
わたくしもよくタクシーを利用しますがタイミングが合わないと2〜3台スルーされる事があります。夜だとすごく不安になります。
かつて、もはや大昔、世の中がバブリーだと言われていたころ、女性一人では手を挙げても止まってくれる車が無かった事を思い出すのです。
だから、やっとタクシーに乗り込む事が出来ると、その運転手さんに救って頂いた様な有難さを感じます。
最近の運転手さんは、ご高齢の方が良いお客様だと心得ていて、随分親切になりました。
足腰が弱り、まっすぐに手を挙げるのも不自由になっている方々のために、『タクシー止まってフラグ』みたいな携帯に便利なグッズを作って広めたら良いのかも……と思ったのでした。
運転手さんも助かると思います。
これが朝の出来事でしたが、気づくと、カスカスの声が少し声らしい音が混ざる様になっていて、おじいちゃんとは会話が成り立っていました。
良い事をしようとする時には、後押しがあるものなのですね。