7月25日(火曜日)
先日遭遇したバスの中での出来事・・・・。
そこそこの年齢のご婦人が、片手に松葉杖を突いて、もう片手には大きな荷物をお持ちになって乗車されてきました。
手前の椅子は全て塞がっていて、後方に掛けていたわたくしは、どうしたものかと気にしながら動向を見守っていました。
すると、やはり奥に掛けていた高齢の女性が、『ココ、ココ』と立ちながら手で合図を送りました。
その合図に杖のご婦人は不機嫌そうに顔を横に振りました。
高齢のご婦人はお立ちになったまま、モジモジしていらっしゃいました。
そして、バスがある停留所に着き、降りる方が全て降り、ドアが閉まった途端に杖の方がブザーを押しました。
運転手さんは、乗ってくるお客様の確認をしながら、後方のドアを再び開けましたが、誰も降りる人はいません。
「次に降りるから押したんですよ!!バスが止まっている時に押したいから」と杖の方が不機嫌そうに声を張りました。
車内にはある種の緊張感が漂い、誰もどうする事も出来ない雰囲気でシ~~~ンとなっていました。
次のバス停でその方は降りましたが、乗車していた方々の目はずっとその方の行方を追っていました。
両手が塞がってブザーが押せない時に、一言『押してください』とお願いすれば『有難うございました」という挨拶が出来るというものです。
足が不自由な場合にバスの一段高い後方に移動するのはなかなか難儀な事でもあります。
ただ、どう見ても自分より年かさの方が好意を示して下さっているのに、しかめッツラをしながら首を横に振るお返事は見ていて切なくなりました。
電車やバスで席をお譲りする際に、何故か一瞬躊躇するのには、この様に辛辣に断られたり、無視されるという嫌な体験で味わった『断られる不愉快さ』を再び感じたくないという想いが働くからではないでしょうか?
人様の好意を受けられない時にでも、その想いに対して有難うを言える年寄りになりたいと思います。
立場上、沢山の若い方々と共にお仕事をさせて頂きますが、ついつい仕事の事となると厳しい言葉を充てる事があります。
そろそろ改めないと、ロクな死に方をしないのではないかしら?
訃報を知って「やれやれ・・・」と思われないかしら?と言動を振り返っています。