1月15日(水曜日)
朝一番にご利用者様のお宅に訪問する途中、高齢の男性が歩道で転倒し、通勤途中の方々に囲まれているところに遭遇しました。
顔の所々から出血していますが、周囲の方々は『大丈夫ですか?』という善意のお声を掛けていながら何をどうしたら良いのか分からずにいる様でした。
幸い、近所に薬局があったので、その方々から善意のバトンを受けとり、とりあえず雨をしのぎ、身体を休ませて頂ける場所までゆっくり進みました。
どうにかたどり着いた途端に身体が崩れ落ちそうになったので、薬局の方々に助けて頂きながらベンチに移動していただく事が出来ました。
ご家族への連絡は『迷惑をかける…』とご承諾を頂けません。
お住いの管轄の地域包括支援センターへ連絡をし、幸い担当ケアマネージャーと直接お話が出来たので、ご担当者からご家族への連絡をお願いする事が出来ました。
その間、本当にすまなさそうに『息子は今が一番大事な時。もうすぐ昇進できるかも知れないのに親の事で仕事を休ませる訳にはいかない・・・』と何度も仰います。
大病をして療養後、今朝初めて一人で出かけたところで転倒した事に相当なショックを受けておられた様でした。
顔の怪我の痛みよりも、自分の過信で起きた事を相当悔やんで、『こんなに弱ってしまった』という現実を見つめておられました。
わたくしは『90歳にして初めてお判りになる事があるのだと教えて頂きました』と励ましのつもりでお話の相手をして担当ケアマネージャーが駆けつけて下さる迄の時間を過ごしました。
額のたんこぶが気になったので、『そうだ!お弁当に添えている保冷剤でたんこぶを冷やしましょう』と荷物をゴソゴソしていたら、薬局の方が保冷剤とタオルを用意して下さいました。
何だか自分事の様に嬉しかったです。うちの薬局でも同じような対応が出来るとイイななんて思いました。
午後、支援センターからご家族と一緒に病院を受診したとのご報告を頂きました。
国は介護離職を防ぐための様々な制度を作っていますが、親が病気やケガで一大事の時に仕事を抜けたら出世できない・・・・なんていう事が無いようにして頂きたいと思います。
連絡を受けた息子様の心中を察すると共に、90歳の父親が息子の出世を気遣って怪我の連絡をさせまいとするその思い。
何だか、切ないのと同時に、親の深い愛情が伝わってきて、胸にグッとこみあげてくるものがあります。